『世界の終わりの夜の中で』

月が見えないから と 君は遊びの手を休めて
闇の座す空へ手を広げた
こんな世界の終わりのような夜に
なお光を求めるその姿が酷く哀れで悲しかった

人の寿命はあまりにも長くて
僕らはどうしてもその取り返しのつかなさを
いつでも忘れてしまいがちだから

日々は過ぎていった そのことに
例えようもない喪失感を味わって僕らは泣いた
古来幾度も飽かず繰り返されてきたその儀式を
乗り越えることも叶わず粉々に砕け散った

永遠 という言葉がある
それはきっと人が生まれ誰かの死に触れてからずっと
焦がれ続けてきた悲しい祈りだ
誰も辿り着けなかった切実な夢だ
こんな世界の終わりのような夜に
欄干にもたれて力なくうなだれている僕らからは
おそらく最も遠い呪いだ

君の小さな手が夜の中で閃いていた
その白ささえ黒に呑み込まれようとしていた
そっと抱きとめたあまりに細いからだが
しかし驚くような熱さで脈打っていて
僕はこみ上げてくる物を吐き出さずにはいられなかった

世界にあるつまらないものを全て集めて
その広大な海の中で遊び 少しまどろんだら
それを明日という闇の向こうに放ろう
君と越えて行くこんな世界の終わりのような夜の中
輝ける永遠の一片を探しあぐねて
戸惑いながらも悲しみを転がす




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