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『歌が聞こえる』

歌が聞こえる
これは俺の最も深い所で生まれた歌だ


埋葬された花々にかけられる土
悲痛な泣き声に降りかかる雨
歌を忘れた鳥達の住む沈黙の森
いつまでも積もる絶望の雪
言葉をなくした人々
俺を見つけ　暖かい腕で抱きしめては
絞り出すように泣く


やがて人々の波が途切れ
俺は貴方と再会する


貴方の痩せこけた頬に
その真っ白な頬に手を当て
別離の意味も解らずに微笑みかけてみた


バラバラに散らばった空の欠片
今は時よ　その歩みを止めろ
俺に時間をくれ
この事実を受け止められるだけの
この涙が枯れてしまうだけの
やがて消え果て何もかもから逃げ出せるだけの


揺り椅子にもたれかかりながら
その光が消えるまで火を見ていた
この暖炉はこんなに冷たかっただろうか
この場所はこんなに広かっただろうか
ああ　夜とはこんなにも暗かっただろうか


埋葬される貴方へ
これは俺の一番深い所から抉り出したレクイエム
美しい花々よ　この人と共に眠れよ
もう何も見えず　何も聞こえないんだ
時よ止まれ　あの人のことを忘れさせてしまわないで


歌が聞こえる

歌が、聞こえる




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