『空の青さ』

空ばかり見ていた
何一つ変わることなく 今はここで
木漏れ日を見ていた 揺れる光の花々

抱えていたもの 澱んでいたもの 呑み込まれて
残ったものは幻

立ち現れる曙光が歌い上げる遠い季節へ
輝く季節へ

幸せでいることにしよう
青い月に誓ったその言葉が静かに溶けていく
幸せって何だろう
そんなことにもまだ答えを出せずに

空ばかり見ていた頃から僕はここで
何もかも失った今でも 君の事を願うよ
幾度も向かえた朝が やがて確かな終わりを告げた

木々の波を滑ってどこでもない場所へ
月の道を滑って何も解らない頃へ
空のあの青さはこの胸に残るだろうか

佇む人に道を訊ねる 何も語らずにその人は去った
死に行く人に道を訊ねる 血を吐いてその人は逝った
美しすぎるアスファルトの道の上で
僕は十字路の答えが解らずいつまでも泣きじゃくっていた
もう何が必要なのか 何が欲しいのかすらわからない
ただこの空へと この空の中へと

どこで拾ったのかさえ覚えていない
大切だった宝物の汚い石ころを
ふと忘れて窓の外に投げ捨ててしまうような悲しい気持ち

永遠という約束があるとして
もしそれがこんな物なら僕は信じない

どこからか優しい音楽が聞こえてくる

空を見上げて道を歩く
もうどこに向かっているのか解らないけれど
美しさになんて興味はないから
今日も着飾ることはしていないけれど
見上げればそこにある あまりに完全な完全

夢の中で そっと足を下ろした月の海の草原
揺れる青ざめた景色を踏んで どこまで行こう
裸の足に触れる物はみな優しくて
いつの間にか何もかもを許せてしまえる気になっている

空ばかり見ていた
最初に浴びたのは光 ここは陽だまり
どこまでも落ちていく あの空へ落ちていく
涙が止まらなかった
何もかもが優しすぎて
独りだという事を忘れてしまえた
この手に触れるものは全てが生きていた

空のあの青さは この胸に残るだろうか

生まれ落ちたとき なぜあれほど泣いたのか解らない
でもそれは正しかったんだよ
生命に対する圧倒的な肯定

一つ音を立てて離れてしまわないで
全て喪った今でも 心は君に

空のあの青さは この胸に残るだろうか




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